このマンガがわりとすごい

このマンガがすごい2010のアンケートをお願いされたので解答しました。

私が答えたのはオンナ編で、少女漫画誌、女性向け漫画誌、BL誌で連載されてるものからベスト5を選びます。
といっても、このマンで選ばれそうなややサブカルよりの漫画が掲載されてる雑誌って基本的に男性誌に分類されてるんですよね。
読者の男女比ってそんな変わんないだろうに。
だからやまだないとのビアティチュードも、志村貴子の放蕩息子も女子好みで私好みなのにオンナ編に入れられないのです。
選択肢少ねえ!


がんばって選んだのがこちら。

1位→ルネッサンス吉田の『茜新地花屋散華』
2位→かわかみじゅんこの『パリパリ伝説』
3位→ジョージ朝倉の『溺れるナイフ
4位→河内遥の『ケーキを買いに』
5位→東村アキコの『ママはテンパリスト


選択肢少ないうえに、今期の少女漫画は不作なんですよ。
特に去年と変わりばえのないランキングになるかと思われます。
そんな中で注目の人が河内遥。
デビューは9年前らしいのですが、今年はじめての単行本を4冊同時刊行したくらいなぜか急に話題が集まった人です。


その中でも私は、ケーキ屋さんを巡って繰り広げられる性愛模様を描いた「ケーキを買いに」が好きなのですが、なんていうかこの人、このマンっぽすぎるんですよ。
もう絶対ね、4冊出したうちの2冊くらいはランキングに入りそうなんだよね!!
なんかそういう人を書くのってさー、なんかさー!
おもしろいんだけどさ!


ママはテンパリスト』は男性誌(忘れた)で「ひまわりっ!」を連載してる、東村アキコさんの育児エッセイ漫画です。
育児エッセイっつーと桜沢エリカとか内田春菊とかの「私ってこんなに家庭的なんですよ」アピール漫画が多い中、東村アキコのはちゃんと金出して読むに足る育児エッセイです。
でもこれも、このマン臭がすごい。
おもしろいんだけどさ。

いかにもこのマンな漫画を上位にもってくるのはプライドが許しませんでしたのでとりあえず上記の今年熱い二冊は4、5位におさめまして、2、3位は安定しておもしろいわりに、いまいち注目が足らないなんじゃないかと思ってる漫画を。

溺れるナイフ』は小学校高学年女子の猫に似た神々しさと、それがだんだん血なまぐさい色気に変わっていく様子が楽しめます。
1位はいま一番注目してる漫画家さんなのでまた今度の機会にくわしく書きますね。BLです。
選択肢少ないとか不作とか書いておきながら、わりにどれも自信を持っておすすめできるものなので、もし読んでみたよという方があれば感想を教えてもらえると嬉しいです。

ちなみにオトコ漫画で選ぶとしたら、まずは絶対フェリーペ・スミスの「ピポチュー」。
アメリカ在住の黒人オタク少年が日本にやってくる話で、作者は外人さんです。
海外の作家さんの漫画ってたまに雑誌で見かけますけども、アジア系の人だと絵がうますぎて読みづらかったり、ヨーロッパ系の人だとおしゃれ風の目がすべる漫画が多くてどうにも満足いかないのですが、フェリーペ・スミスさんの描く漫画は絵もノリも非常に日本的で、でもその中に海外作家さんらしい構図やデフォルメがあってそれが絶妙です。
特に、あそこまでギャル男の雰囲気を上手く描ける人って見たことない。

『ピポチュー』の連載が始まるとき、モーニングツーに載っていたあおり文は確か「日本史上初、天然ドレッド漫画家」でした。
たぶん「日本史上初! 外国人漫画家」だと、アジア系の人はもうけっこう活躍してるわけだから嘘になるし、「日本史上初! アメリカ人漫画家」ではパンチが足りない。
「日本初! 黒人漫画家」だとどこかから抗議がくるかもしれない。
でもだからって「天然ドレッド漫画家」って…何を売りにしたいのかよく分かんないよ!
でもおもしろいですよ。


あとは市橋俊介の『敗北DNA』。
コミックビームでちょぼちょぼ連載されている4コマ漫画で、シュールなネタが多いからけっこう当たりはずれが大きいけれど、たまに載ってる彼の自虐ネタは悲惨すぎておもしろいです。
単行本に掲載される分は厳選されているようなので発売を楽しみにしていたところ、読んでみたら見事におもしろくないネタだけが抜粋されていてがっくりきました。
抜粋は編集さんに任せてたそうです。
なんか…どこまでもかわいそうな人だ…。

単行本の中では「セックスおじさん」の話が好きです。
変な振り付けで踊りながら「セーックス!」と叫ぶ、小学生男子に大人気の浮浪者のおっさんの話です。

ちなみに彼はコミックビームで「ふろってくん」というエッセイも連載しているのですが、こちらは毎回自虐芸が美しく決まっておりまして、正直彼の描く漫画よりずっとおもしろいです。市橋さんは漫画家をやめて文筆業に転職した方が幸せになれると思います。

あとは、んーとえーと…5位まで決めるのめんどくさいわー。