同窓れいど

 サガノヘルマーという漫画家をご存知でしょうか。
 サガノヘルマーさんは、サガノ・ヘルマーなのかサガ・ノヘルマーなのかで兄と揉めたことがあるのですが、どうやらサガノ・ヘルマーらしいです。


 サガノヘルマーさんはヤンマガなんかで、なんと家畜人ヤプー的な展開の電波漫画を描いたことで有名な方です。
 例えば代表作の「ブラックブレイン」では、男子高校生の前に突然アガサ森田なる未来人がやってきて、アガサ森田の世界では人間は乗り物や名刺、建造物に生きたまま加工される時代でもあるのですが、とにかく人間の未来を守るために男子高校生が受波脳なるもので闘う、という設定です。
 うわー、電波がビンビン伝わってくるよね!
 よく青年誌で連載できてたよなー。


 そんなサガノヘルマーさんが私は大好きなのですが、ブラックブレインの連載終了後もちょくちょく同じ方向性の漫画を描いては打ち切り、書いては打ち切りを繰り返し、しかも毎回設定が壮大なので打ち切り感も壮大で、少数のコアなファンだけを残してついには消えた漫画家になってしまったのです。

 その後は同人にうつったとか、実家に帰って母の介護をしているとかいろいろな噂を聞いたんですけども消息は不明。


 と思っていたら、サガノヘルマーさんはエロ漫画家として、エロ本にバリバリのエロ漫画を連載していたようで、その単行本がついについに出ました。



 実はとある編集の方からお話を窺ったところ、サガノヘルマーさんは妻子ある身。
 サガノヘルマーさんと結婚する勇気のある女性にもすごく興味が湧きますね。


 しかしPCもテレビも買えず、かろうじて家にあるラジオだけが社会との接点という生活状況だそうです。
 もちろんアシスタントもいないのですべての作業をひとりでこなすのですがこれがもう遅筆で遅筆で、締め切り前には編集部に軟禁して描かせるそうなのです。
 そうすると、編集部に奥さんからしょっちゅう電話がかかってくるんですよね。
 編集の方も「奥さんもヘルマーさんを心配しているのだろう…ああ、夫婦愛!!」とか思っていたら 「アンタだけ編集部でいいもの食ってるんじゃないでしょうね!?」という怒りの電話だったそうです。


編集部で食べるものなんて出前の蕎麦とか良くてカツ丼くらいだろうに、それを「いいもの」って……もう涙なしには語れないよ!!


 肝心の新刊は人妻が娘の教師に脅されてセックスされたり、娘の前でセックスされたり、知らない人とセックスさせられたりというごくごく平均的なエロ漫画で、なおかつ今のエロ漫画家さんの中では決して画力がある方だとは言えないので非常に微妙な出来です。


 しかし最後の最後の一話で人妻がなぜかいきなり、15万人の信者を持つ宗教法人「艶光輪」の教祖に。未来が見えるようになったり、セックスすると体がビカビカ光るという特殊能力を身につけるという超展開。
 やはり最終話くらいは電波な展開にしてまとめないと気がすまなかったんですね。


 ただ、怒涛のクライマックスを含めても新刊のエロ漫画よりは、もはや絶版になっているブラックブレインを中古で購入する方が確実におもしろいものが読めるとは思うのですが、私はやっぱりサガノヘルマーさんにどうにかこうにか印税の入る方向性でおすすめしたいのです。
 「同窓れいど」がめでたく増刷されて、そのお金で奥さんとお子さんと、いいもの食べに行ってほしいなぁと思うのです。
 だからここは新刊、「同窓れいど」を推します。


 みんなも「同窓れいど」買おう!
 サガノヘルマーさんがんばれ!!